vol.5

 

瓦割りカワラナ

 

台東区浅草 

 

 

これを浅草でやったら 絶対にウケるのになぁ!

 

浅草にお住まいの方のほとんどは、一度は銀座線に乗ったことありますよね?
東京メトロ調べによる2017年度の一日平均乗降人員は、なんと、平均で107,628人にもなるそうです。
その東京メトロのCMはもう御覧になられましたか?
電車の車内や駅構内で流れている、石原さとみさんが挑戦した瓦割りのお店、
「瓦割りカワラナ」さんに今回はお邪魔してきました。

銀座線のCMにも出てる川口さん。表情豊か。

――(雑談が盛り上がり過ぎていたので、インタビューを始めるよう小声でスタッフに促された途端)あらためまして、おめでとうございます!

川口
え?えぇッ!?いきなりインタビューに入るんですね(笑)!

――遅い「おめでとう」で、すいません!

川口
と、とんでもないです!

――一年お店をやってみて、どうですか?

川口
あのねぇ、まぁ、やってみて面白かったなぁ、やり始めてみて良かったなぁっていうのが、正直な感想です。例えば客商売なんてやったことないじゃないですか。サラリーマンなんで。でも、いろんな人に出会えて良かったし「商売の浮き沈みって、いろいろあるんだな」っていうことと、「メディアは強いんだな」って思いましたね。

――何でしたっけ?東京メトロのCMに出てからでしたっけ?

川口
一発目が五月に僕の仲間がここを取材してくれて、そこでネットニュースみたいなサイトに出たのが初めてで。そこから月に何本かずつ、取材が入っていって。一番最初にブレイクしたのが、BSかCSかのプロレス番組が取材にきたときに来てくれた、福岡のアイドルグループをクビになった、女子プロレスラーの女の子が来てくれて。その子がお盆に、放送が終わった後で「浅草の瓦割り専門店は、そんじょそこらの海よりもインスタ映えするよ」ってことをTwitterで呟いてくれて。それがリツイートされまくって、2万リツイートくらいになって、その週末がヤバくて。そのときが去年における最高記録。もう、ひっきりなしにお客様の対応をしてましたね。「Twitterって、こんなに人が動くの!?」って、驚きましたね。

――今の世の中を象徴している現象ですよね。SNSが無かったら、その記録は無いってことでしょう?

川口
無いです無いです!僕らの世代じゃ無かった話でしょう?Twitterを見てどこかへ行くなんて、昔はあり得なかったじゃないですか。そこから波が来て、取材が続いて、去年の最大のヒットの東京メトロがやってきますっていうのが、そこに繋がって。ジャ〇ーズが来ますとか。ニュース番組とか、たくさん取材に来てくれましたね。

――ちょくちょく見てますよ。CMも。なんかねぇ「遠い人になっちゃったなぁ…」って思ってますよ。

川口
ハハハハハ(笑)!よせよぉ、よせよ!

――こないだもお祭りで通ったときに「川口さん、僕なんかにはもう、見向きもしないんだなぁ…」なんて思いながら通り過ぎましたよ…。

川口
なんでですか(笑)!今ちょっとバブルがきてるだけで、僕のやりたい世界には、まだまだ近づいてないですから!

――だって肌ツヤがいいもん。これは儲かってる顔だよ!

川口
何を…(笑)。いやいや、これは商売的には儲からないですからね。そんなに。

――一番最初に「瓦割りを面白いんじゃないか?」と、思ったきっかけは何だったのですか?

川口
なッ!?なんか、いきなり話し方変えてきた…なんでそんな、し、司会慣れしてるんですか!普段、いったい何をやってるんですか!社長!

――そろそろちゃんとインタビューをしようかと(笑)。プロっぽく言ってみました!

川口
ハハハハハ(笑)。何がきっかけかと言うと、実際に僕が瓦割りを体験しに行ったんですよ。で、体験してみたら、ムチャクチャ面白かったっていうのがきっかけですね。

――やってみて面白かったと。

川口
やってみて、割ってみて、割れて。で、「うわ~、クッソ楽しい!」っていう動画があるんですわ。見てみます?

川口
これがねぇ~、もうねぇ「どんだけ楽しいんだ!」と。ウフフ。この僕のねぇ、僕の喜びっぷりをちょっと見ていただきたいんですよ。これはねぇ、一番最初に瓦割りにいったときのなんですよ。

(しばし、二人で動画を見る)

――(動画を見終えて)うおぉ~、いくねぇ!

川口
これが僕自身の最初の瓦割りです。これがムチャクチャ楽しくて、うぁ~、これは凄いなと。で、「これを浅草でやったら、絶対にウケるのになぁ!」っていうのが、最初の出会いです。これ2016年の4月。で、一旦ここで瓦割りの話は「楽しかった~、浅草でやったらいいのに~!」で、閉じます。で、2016年の8月に、自分の会社を作ったんですよ。

――合同会社ハハハですね。

川口
それは、もっと楽しく暮らさなくちゃいけないときに、「会社をいつか作ろう」と思っていても、「そう思い続けて何年経っているんだ?」となるなぁ~と。「なにやる?」ってなってから作るのでは遅いから「作ってから考えよう!」と。そう思って会社を先に作ったんですよ。

――それ、僕も一緒。

川口
えぇ~!

――お店とか決まる一年前に、浅草不動産を作ったの。

川口
スゲー!シンパシー!もう、やりたいことあったら、作っちゃったほうがいい!

――そうそう。考えかたが一緒なんですよ。僕と川口さん。

 

「自分でやりたいこと、やったほうがいいよ!」って。

 

川口
で、今度は物件!物件、あるのかな~と(笑)。瓦割りできるところ、あるの?と。何件か掛け合ったけど、全然だなと。

――なかなかねぇ、瓦割りのお客様は来ないというかいないというか、これはどうしたものかと僕も悩みました(笑)。

川口
いろんな不動産屋に行ったけどねぇ、「瓦割りは、う~ん」となりましたよ!

――いや~、本当に良かったですよ。物件があって(笑)。

川口
本当ですよ!良かったですよ!浅草不動産はなんでもアリですねぇ。今後、岩間さんは今の仕事で何かしたいこととかあるんですか?

――え?う~ん、ふざける方向にいきたいなぁって。

川口
熱い!

――真面目に不動産屋やってても、ダメだなぁって思っていて。大事な部分は真面目にやるんですけどね。

川口
うんうん。

――超絶丁寧、超絶親切、超絶コストレート…超絶…ちょ…超…。

川口
「超絶」が多すぎ(笑)!多くない?

――バカがバレるよね(笑)。ハハハハハ!

川口
基本は浅草をベースに?

――そう、浅草をベースに。いろんな遠いところでもやってますけど、これからもっと、面白い形を何か表現したいと思っているんですよね。

川口
う~ん、でも面白いことをやるときには「物件有りき」だから、なんかそれは楽しみだなぁ、僕は。

――多分、僕ら浅草不動産の強みとしては、これからも「こういうことをしたい!」っていう人の話をちゃんと聞いていこうと思っているんですよ。

川口
なるほど!わかりやすい。「とりあえず相談してよ!」と。やりたいことがわかりやすい(笑)!

――「是非、言ってみてくれ!」と。

川口
なんなら「うちは、あのよくワケのわかんねぇ瓦割りの店を出してるよ!」と(笑)。


――そうそう(笑)。なので、今回はうちにとっても、いい出会いでしたよ。

川口
なんかねぇ、確かに。ここの物件とのマッチングとしては、ハンパないしね。


――「あの不動産屋、こういうことでも探してくれるんだ!」ってことを、表現していきたいですよね。ここの物件だって、想像していたのは事務所として貸し出すことだったんですけど、まさかの瓦割り。僕自身も想像していなかったですよ…って、なんで俺が喋ってるんだ(笑)。

川口
いやいや、非常に興味深いですよ。ところで、何で岩間さんは浅草で不動産屋やってるんですか?

――呼ばれてきたの。縁があって、浅草の不動産屋さんに誘って頂いてね。そこで働いて、それから独立したの。本当にたまたま浅草だっただけなの。

川口
へぇ~。

――田舎から出てきて、まさか浅草で根を下ろす、生やすなんて思ってなかったんですよね。全く。1ミリも(笑)。

川口
そしたらいつの間にか、浅草不動産を名乗っていると(笑)。


――そう(笑)。「浅草でやるなら浅草不動産でしょう!」と。

川口
さすが~!

――な、なんか気持ちよくなってきた(笑)!

川口
名称もいいしね。俺、不動産なんてなんも考えてなかったけど、やりようだなと思っていて。まだまだだけど、ここは普段、人通りも無いし、うちが店をやることによってうちを目指して人が目指してやってきてくれることで人通りが増えたらいいなって思っていて。人はモノがないと動かないしね。不動産、魅力的だよなぁ。うちの店、アートスペースで壁貸しとかをしていて。そういうのをしてると、そこを目指して来てくれる人がいるから、やっぱ、お客さんの動線をどれだけ頑張れるかだよって思うんですよ。例えば、ぜんぜん売れてないラーメン屋があるとして、その店を流行らそうと考えるとしたら、出入りする人をどんだけ増やすかってことがキーだから。やりようによって、壁を先ず貸して、アート展とかしたら、そこに来る人がいるよね…とか、ラーメン屋体験とかやれると、今風の時代にあった形で面白いことがやれるんじゃないかな~と思うんだよね。

――やっぱちゃんと考えてるんだね。うまくいってるもん。

川口
「待ち」は絶対に無理!って思った。ここ三ヶ月くらい、ずっと待ってて、ぼーっとしてて、スゲー思った(笑)。待ってるだけで気づいてもらおうなんて、おこがましいとね。

――待つのではなく、発信する時代になっていると。

川口
逆に、「一緒にやろうぜ!」みたいなことができるといいな~って思っているし、地域に根差してる不動産屋さんにもできることあるだろうし。「面白いこと仕掛けてやろうぜ!リスクがあるけど!」って。既存店の支援があったら、いいよなぁ~って。悪ふざけするのにね。僕、読書会ってのを9年くらい、直近で6年くらい浅草の喫茶店の2階を借りてやってるんです。第一、第三日曜日の9時15分から12時まで、「お客様待ち」になる時間に借りていて。その時間に1回2~30人くらい人が来て、5~600円くらい食べてもらってお店も潤って、「読書会に行きます」って人達が、その店を行きつけの店として行くようになればいいなぁって。こういう企画を飲食店が主催してやったらいいのになって思うんですけど、たぶんそういうの、やらないんですよね。

――なるほど。

川口
僕は何かやることが好きだから、そういう会をいろいろ仕掛けていくようなことを、本当はタイアップ的にやれると面白くて。そういうことがもっと浅草の中でやれるといいなぁと思っていて。「困ってるんだ、うちも客足が…」「うちも客足がアレだからわかる~」なんて話から、いろんな仕掛けをしてみてさ、「はずれたらはずれたで、何もロスしないから!」って。やらないほうが「もったいないな」って思うし。そういうことをもっとやっていきたいんですよ。

――さすがです!

川口
とんでもねぇっす!それも、僕ら世代でいうと参考にする大人もいないし、ひとつの会社で勤め上げるって時代でもないから、自分でやっていくことが正しいし。だから「自分でやりたいこと、やったほうがいいよ!」って。それは「待ちビジネス」は無理だから、どんだけ攻めていく?というね。攻めていくのも誰かと一緒に、「一緒にこんなことやってみない?」っていう話ができると、もうちょっと広がりが、ね。リスクもないし。その行為自体も楽しみながら一緒にできたらいいなぁって思うんです。

――なるほどね。ちゃんと考えていますよね。

川口
ひらめいたら、やっちまうんですよ!

――とにかく面白そうなことは、やってみると。

川口
やる。で、誰かと絡んで何かする。今回の話も取材がスゲーありがたいから。聞かれたりすることで、僕の中で整理することもあるし、次に進むこともあるからスゲーありがたい。

――これからも新しいこと、どんどんやっちゃってください!期待しております!

川口
スゲー、対談番組っぽい(笑)。スゲーいいこと言った気がする(笑)。


瓦割りカワラナ

 

住所:東京都台東区浅草2-27-17

 
 

瓦割りカワラナ

 

住所:東京都台東区浅草2-27-17

 
 

語り手:川口 民夫(瓦割りカワラナ代表)
聞き手:岩間 健一(浅草不動産株式会社)
書き手:木村 淳子(浅草不動産株式会社)

取材日:2018.05.27